今回は「吊るし」と言うワードを全国に定着させる立役者となった、「エグ弾TYPEレベル」の開発秘話について少々お話ししたいと思います。
完全な水平姿勢を保てるジグ「エグ弾TYPEレベル」
そもそもの吊るしのルーツと言えば、関東近郊を中心に定着していたパワーフィネスが起源。
最初は強めのスピニングタックルにPEラインを組み、軽量リグでカバーを撃っていく「フォール主体の釣り」でしたが時代と共に進化を遂げ、カバーにラインを持たせてルアーを吊るし一点シェイクをするメソッドが確立されていきました。
カバーにラインを持たせ吊るす事により狙いたいレンジを延々とキープ出来る唯一の手段であるこのメソッドは、これまで口を使わせきれなかったサスペンドバスを攻略する事が可能ですが、ルアーを一点でシェイクする特性上バスにルアーを長時間見せる事になり、じっくりルアーを観察した末に見切られてしまうケースが多い事も否めない事実でした。
ここで何とか見切られる確率を下げる為に着目したのが水中姿勢。
小魚やエビ、水生昆虫など殆どの生き物が水中を漂う際には自然と水平姿勢を保っているように、バスに生き物だと認識させ見切らせない為には「水平姿勢」が重要になるのです。これまでのパワーフィネス用のジグにおいても水平姿勢を意識したものはありましたが、実際に完全な水平姿勢を保てているものは無かった為、「完全な水平姿勢を保てるジグ」を目標にスタートしたのがエグ弾TYPEレベルでした。
ただ単純に水平姿勢のジグを作る事は簡単で、クランク角90°のフックを用いてウェイトを極力低重心化し、前方に持っていけばそれだけで水平姿勢は完成するのですが、問題は対カバー用なので”スナッグレス性能を両立する必要がある”と言う事。
エグ弾TYPEカバーの様に、見るからにすり抜けに特化した形状とは相反する物を何とかすり抜けさせるギミックは、エグ弾TYPEレベルにおいて最大に苦労した点。簡単に説明するとキモはヘッド前方の絞りと傾斜で、更にフックのクランク角を90°で無く更に内角な95°に設定した事でいわゆるカバージグなどとは別アプローチのカバーを抜けると言うより「掻き分けさせる」方向で完全なる水平姿勢とスナッグレス性能を両立する事が可能になりました。
このように同じカバーを狙うジグではあるものの、エグ弾シリーズは“狙いと用途”によってヘッド形状やアイの位置・角度を変えているんです。
完全な水平姿勢とスナッグレス性能を両立したヘッドが完成した時点で、普通にラバーを巻いてメデタシとしておくのが通常のスモラバだと思いますが、そこだけで終わらないのがエグ弾シリーズ。
いくら完全な水平姿勢を手にしたとは言え、すっかり定番化しバスにとって見慣れてしまった存在と言えるスモラバを見切らせない為にはもう一つ決定打が必要だと感じていたのです。そこで着目したのがスモラバのアイデンティティと言える独特のカットを施したシリコンラバー。
既存のスモラバは製品によってラバーの太さやシリコンの硬度の違いなど微妙な差はあっても総じて四角い断面で太さが均一な為、単調な波動になってしまってしまいがちですが、そこにこれまでと違うアクション変化や波動などスモラバアクションの理想を求め開発したのが三角形の断面に根元から先端にかけて細く変化していくテーパードラバーでした。
エグダマシリーズの核心部と言えるのが、このテーパードラバー(チャートの部分)。新しい金型も必要になり何気にお金掛かっています…。
ちなみにTYPEレベルの1.5g・2.0gと、2.5g・3.5g・4.5gではテーパードラバーの長さも変えています。
これにより細かいシェイクでは毛先のみが振動し、強めのアクションを加えると根元からしなり、その反発で強い波動が出るなど操作方法によってランダムな波動の出るラバーが完成し、これまでのスモラバに見慣れた魚をもう一度振り返らせる事に成功しました。
従来の対パワーフィネスジグの場合は、魚を騙すのにルアーの存在を背景にぼかす事で見切らせずにバイトに持ち込むケースが多かったのですが、完全水平姿勢+テーパードラバーの二つの相乗効果を得たエグ弾TYPEレベルの場合はオープンウォーターでも見切られにくい。
パワーフィネスが有効なブッシュやティンバー・レイダウンなどのゴージャスカバーでの効果は勿論、テトラや護岸・杭・岩などラインを持たせる事が可能な何かしらのストラクチャーさえあれば使用可能で、至近距離であればロッドからの垂らしで吊るす事でも十分威力を発揮するなど、様々なシチュエーションで吊るしの効果を発揮できるようになりました。
エグ弾TYPEレベルのセッティング
エグ弾TYPEレベルのトレーラーにはエグバグがおすすめ。
全体的に入った深めなリブは適度な抵抗感になり、サイズ・体積の割に水噛みが良く操作性が抜群に良くなります。
タックルセッティングについては、近~中距離のゴージャスカバーであればGA-611MLS-ST 【Stride】にPEラインをセットしたTHEパワーフィネスなタックルセッティング。
至近距離や、PEでは太刀打ち出来ない岩やコンクリートマテリアルを攻略する際にはGA-65PBF【Power bait Finesse】やGX-67MHC-ST 【THE BISHOP】等の強めのベイトフィネスタックルにフロロカーボンラインをセレクト。
状況や狙うストラクチャーでタックルを使い分ける事で更に精度の高いシステムが完成します。
更に来年には5.5g/7g/9gの3ウェイトを追加する予定。
パワーフィネスやパワーベイトフィネスタックルのみならず、通常のベイトタックルでも使用可能なラインナップが追加される事で吊るしシチュエーションはますます広がりをみせるはず。
吊るしの釣りは一年中効く釣りですが、厳寒期は他の釣りでは代用が効かない程のポテンシャルを持った釣りです。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
関連動画
出典:YouTube「RAID JAPAN Official Channel」