今江克隆のルアーニュースクラブR「ベイトフィネスのさらに向こうへ!PEベイトフィネスのタックルセッティングのキモを紹介」の巻 第1029回
PEベイトフィネスにハマる
ベイトフィネス用リールの条件
さて、ここで今週の本題である「PEBF」で使うベイトフィネスリールは、通常のベイトフィネス専用リールでOKか?否か? セッティングも同じでOKなのか?という点だ。
答えは、スプール強度がPEの対ショックに耐えられるモノであればOK。
KTF、ZPI、LTZ、「LX992Z」のデフォルトスプールは、ワンシーズン使い込んでも歪むことなく、根掛かりをダイレクトに引っ張らない限り強度的に問題はないと思われる。
次にセッティングだが、「PEBF」においてリールのセッティングはフロロ7〜8Lbを使用する場合とはかなり違ってくる。まず最初に、フロロ7Lbを55回転巻いたスプールと、「スーパーファイヤーライン ウルトラ8」の1.5号を70回転巻いた同じスプールとの重量比較を見てほしい。

フロロ7lb40mとPEライン55mとの重量差は驚くほど大きい。この軽さが逆にリールにとってマイナスに働くことがある
重さ(軽さ)による影響
フロロを約40m巻いたスプール11.1gに対し、PE約55m巻いたスプールは8.9g。実にその差は2.2gもあるのだ。
同じ40m巻きなら3g近い差になるだろう。
スプール単体の重量が6.8gだったので、フロロ40mは4.3gもの重さがあるのに対し、PEは55mでもわずか2.1gしかないのである。
この差は3〜6gのルアーを投げるうえでは大きな影響がでる重さだ。

PEラインは、スプールに満タン巻いた状態、フロロはハンドル約55回転巻いた状態。細いPEなら1.5号(20lb相当)でも60m近く巻ける
しかし、単純にスプール重量がPEの方が軽いからといって、「PEBF」がより軽いモノを快適に投げられるかと言うと話は別だ。
「PEBF」の最大の難しさは、そのラインの軽さゆえにキャスト時のスプール慣性力が最後まで保てず、立ち上がりは過激なのに収束が早すぎるというジレンマに陥るのである。
要はブレーキが緩いと「手前落ち」の多発。ブレーキが強いと「キャスト後半の伸びがなく失速」で目標に届かないミスが多発し、戸惑う人が多いだろう。
フロロは良くも悪くもスベリがよく、重いため、飛行後半までスプールを回し続ける慣性が維持しやすい。
一方、PEはスベリも悪く極めて軽いため、ガイド摩擦とラインの空気抵抗(膨らみ)でルアーを失速させスプール慣性を止めてしまい、キャスト後半が伸び難いという現象を起こすのである。
ゆえに、実は「PEBF」の方がフロロよりシビアなブレーキセッティングと、それを見越した慣れを必要とするのが現実である。

ベースの「LTZ930pro/ik-combi」スプールは、共に6.8〜6.7gである。スプールの軽さはベイトフィネスの基本だが、ラインの種類、巻き量によって簡単に激変する
「PEBF」専用のブレーキセッティングのコツを紹介!