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今江克隆のルアーニュースクラブR「ベイトフィネス用リール!メンテとチューンの基礎と最重要ポイントを紹介」の巻 第1027回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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「磁石」と「磁極配置」について

さて、ここまではパーツの基本だが、BFリールで最も知っておくべき基本知識として、ネオジム磁石の配置と磁極がある。

BFリールの場合、特に軽量ルアーのキャスト性能において、この磁極配置の安定が必要で、基本的には「プラスマイナスが交互に並ぶように配置」する。

この配列がいびつになると、ブレーキの効きが弱くなるので、デフォルトの時点で必ず触っても消えにくい赤マジック等でハッキリとプラスマイナス(どちらがプラスかは気にしないでよい)の目印を付けておきたい。

ベアリングメンテや、ネオジム磁石追加チューンなどの際、不意に磁石が外れて互いに引っ付いてしまい、ワケが分からなくなると元通りに戻せなくなり、シビアな超軽量ルアーのパフォーマンスには特に影響することがある。

なお「LX992Z」は、ネオジムホルダーを深めの設計にしており、自分の好みに合わせてネオジムの厚みを増減することが可能になっている。

最近は同じ厚みでも超強力なネオジム磁石(通称:ゴールドネオジム)も世に出ており、配列さえ間違わなければ自分に合わせた磁力の微調整が簡単にできるのもAbuならではの魅力である。

一世代前の片側設置から、ラウンド均等設置が主流になったネオジム磁石の配置。ネオジム磁石の磁力設定を自分に合わせて簡単に変更できるのがAbuのメリット。ただし、配置基本は重要

ちなみに、ネオジムは360度ラウンド配列に近いほど、安定した均一な磁場が発生し、BFスプールの回転のガタを安定させるといわれている。

理由は、ベイトの両軸シャフトを受けるベアリングにはわずかながらスキマがあり、磁界が偏るとスプールローターが影響を受け、目に見えない精度ながら高速回転中に軸に偏りが出ると指摘されている。ゆえに最新機種ではこの偏りを発生させないよう、左右均等、もしくは360度ラウンド配置が主流になっている。

360度均等配置の意匠を取得している「G-nius」のネオジムマグユニット。プラスマイナスを交互に配置するのが基本。磁界の均等性は回転軸の偏傾斜を防ぐ

ただ、これはあくまで高性能BFでの超軽量高精度なキャストならではの話であって、通常のリールではその差は感じることはほぼないだろう。

このネオジム配列と磁力の均一化は、Abu公式チューナーの長年の試行錯誤から基本的には超強力な磁力を「遠くから薄く分厚く均等にローターに掛ける」ことがノンストレスのBFセッティングの要だとされている。

ただ、これはスプール側のローターの厚みや形状によっても大きく変わるが、それ以上にマグダイヤルの距離調整幅(ローターとマグの距離)の微調整具合が、チューニングの要になる。

ローターの形とスプールのブランキング軽量化の組み合わせは無数。それに加えてマグとの距離の絶妙さがノンストレスBFの核心。どれが自分にとって正解かは全ての組み合わせを試すしかない

現実のところ、剛性、精度の高いアルミフレームでなければこの微妙な部分がゆがむことで安定せず、自分が「LTZ」からアルミフレームにこだわる理由でもある。

また、例えアルミフレームでも個体差による微妙な誤差、マグダイヤルのノッチ誤差等は確実に生じるため、「LTZ」はZPIで個別に一つ一つ固体に合わせた調整で「930Pro」へと仕上げられている。

ZPIのチューニング部門が新たに独立した「REVIVE」では、この手法を「LX992RS/REVIVE」でも踏襲し、個体に合わせた調整、オーバーホールを一貫して行なってくれるため、デフォルト大量生産の高性能BF機種とはまた違った、「自分だけのBF専用機」となって仕上がってくるのが最大のメリットである。

それゆえ長年使えば使うほど、愛着のわく唯一無二の道具になってくれるだろう。

これは「LX992RS」のネオジムセッティングの一例。超強力なゴールドのネオジムを片側だけに、均一ではなく「偏向」配置しているその意図が分かればBFマニア。よくまぁ、ここまで「REVIVE」は調整してるんだという驚き。秘密はAbuならでは?なマグダイヤル

さてBFリールの基本知識はこの辺にして、来週は、BFリールチューンの実戦に役に立つ深堀知識と、PEベイトフィネスならではの特殊な実戦セッティングの出し方、「LX992Z」の裏技チューンなどを紹介しよう。

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