今から100年以上も前、世界で初めてプラグを世にリリースしたジェームズ・ヘドンはその最初のルアー「”Dowagiac Expert”(スロープノーズ)」の説明文に「ルアーの外見を本物のエサに似せても得るものはない」と書ききったという。
「機能を使い切る」
これはヒロ内藤さんが、かねてから仰られているルアーフィッシングの基本。エサに似せるのではなく、その機能を最大限使いきることで本物のエサなんかに似ていなくてもバスは喰う。
機能を使い切ることを極限まで追い求めると、タックルバランスに行き着くのだという。これが、開発の経緯でもお伝えしたようにロッドやリールが細分化していく大きな理由の1つ。
つまりこのトップウォーター専用ラインは、トップウォーターの機能を最大限引き出すことがコンセプトとなっていると。
伸びの少なさ。これが一番の理由とヒロ内藤さんは言う。
たとえば、カバーにタイトにルアーを通す際、ほんのわずかなアクションを入れたい時なんかは、PEラインの伸びの少なさじゃないとうまく入力ができないと。
また構造上、PEラインは細い。つまり風や水の流れなどの影響を受けにくいため、トップウォーターを扱いやすいというのも大きなアドバンテージになっているよう。
今から5年ほど前、ヒロ内藤さんはとある取材を受けたそうな。
その現場というのが、ご存知「七色ダム【奈良県】」。 トップウォーターの展開を考えた時、ヒロ内藤さんは自身がやりたい釣りをするなら、七色ダム特有のオーバーハングの奥の奥まで撃ち込む必要性を感じたそう。
その時、リールに巻かれていたのがPEラインの0.8号・1号・1.5号。キャスタビリティ、操作性などを考慮し、PEラインの細番手をセレクト。
実釣で使用したのはほとんどが0.8号。これは0.6号ではトラブルが増えすぎるという懸念と、1.5号では太すぎて失速しオーバーハングの奥を撃ち抜けないということから。後、単純に0.8号が使いやすかったから。
そこから、0.8号のPEラインの可能性を感じアメリカでも使い込み、1年少しで15本以上の60cmオーバーを仕留める。この実績からバツグンのキャスタビリティに操作性を誇る「0.8号」がベースに。そして、多少のトラブルなら、そのまま気にすることなく釣りを続けられる「1号」の2タイプの太さになったそう。
ヒロ内藤さんがトップウォーターを使うとなった際、前提としてあるのはベイトタックルであるということ。ベイトであるがゆえに「バックラッシュ」は避けられず、何度も繰り返すことで強度が下がることに。
そして、この”強度”という課題を克服するのが4本編みというわけ。
ヒロ内藤さんいわく、同じ0.8号の太さなら8本編みと4本編みなら4本編みの方が強い。もちろん単純な引張強度ではなく、擦れなどの外的要因に対して。これは、細いフィラメントを編んでできているPEラインの構造上、4本編みの方が1本1本のフィラメントが太いことに起因。
リーダーは18~20lbのナイロンラインを70cmほど。ナイロンであれば、さほどこだわりは無いという。
そして結束方法はFGノット。試行錯誤の末、こちらの結び方に落ち着いたそう。
このトップウォーター専用ラインについて、ヒロ内藤さんはどの号数が良いですか?と聞かれれば、まず「1号」と答えるという。それは、トラブルが少ないことと1号でもまったくストレスなく使用できるから。
ただし、極限の釣りを覗いてみたい。そんな方には絶対0.8号をオススメするんだそう。なぜなら…“絶対おもしろい”から。
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