ベイトに合わせた強さを
そもそもの狂鱗カラーが作られた理由は「もっとリアルで、乱反射の大きいカラーが欲しい」というところから。
つまり、アピール力の強弱という観点に起因する理由。堀田光哉氏や多くのユーザーが望んだ「もっとアピール力が強いものが欲しい」という声は、その延長線上にあると言える。
奥田学氏のアプローチはこれとは少し異なる。
それはベイトフィッシュの持つ強さ。つまり、リアルなベイトフィッシュにリンクした強さが欲しいというもの。
狂鱗ホログラムの鱗のパターンは小さい。バスで考えるとワカサギやモロコといった小型のベイトフィッシュをイミテートし、それはそれで必要。その上で彼が必要としたものは、フナやギル、汽水域のコノシロなど大型ベイトの鱗パターン。
淡水域では大型ベイトの鱗は得てして大きい。その大きさ、強さが欲しかったのだという。
この「コノシロ」というキーワードが、さらに強力なアピールがほしいというソルトシーンともリンク、“狂鱗の鱗を大きくしてアピール力を増す”、という方向性が定まったのだという。
マブナ・コノシロの鱗を貼り付けるイメージ
方向性さえ定まれば、狂鱗ホログラムのノウハウを活かして開発までは早かったそう。
開発チームが行ったのは「マブナ」「コノシロ」の鱗を張り付けるイメージで大きさを調整、ホログラムの効果を活かして強烈にアピールできる新しい技術を一枚一枚の鱗に細かく加えるということ。
結果、1本のルアーでありながらそれぞれの鱗が別々に輝き、それによって得られるさらなるリアルさと、一枚一枚の鱗が強く輝いて全体的なアピール力を強めるという形で完成。
2019年に登場した狂鱗ホログラムから1年の期間を経て、2020年に強鱗ホログラムが登場。
狂鱗に続いて強鱗、釣り人ならもちろん気になる次のパターン。もちろんこちらも伺いました。
「まだ公表できるレベルのものはありません。ただ構想としてはあり、実際にテスト段階のものも。ご期待ください。」
…とのこと。強鱗ホログラムが登場したことにより、さらなるデータや要望は届いているはず。これは、否が応でも期待は高まるというもの。
狂鱗ホログラム採用ルアー例
フナやギル、コノシロなどの大型ベイトの鱗パターンがモチーフ。採用されるルアーも大型。
シマノ公式「バンタム ビーティーフォース」詳細ページはこちら
サイズ/重量 | タイプ | 本体価格(円) |
---|---|---|
190mm/50g | フローティング | 3,450 |
シマノ公式「バンタム Btスラプター」詳細ページはこちら
サイズ/自重/タイプ | 本体価格(円) |
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182mm/58g/フローティング | 3,600 |
「狂鱗」と「強鱗」。
リアルな魚の鱗をモチーフに、現在の技術を駆使してできたそのホログラムにより「今までのルアーにはなかった新しいアプローチができた」と開発者は言う。
狂鱗ができたことにより獲れる魚がいる。さらに強鱗ができたことにより獲れる魚もいる。
しかし、それがすべての魚ではないという事実。「鱗」以上に魚を反応させるパターンが、まだまだ他にたくさんあるかもしれない。
飽くなき探求心で開発され、次々と提案される新たな技術と狡猾な魚たちとのデッドヒート。
まだ発見できていないヒントを釣り人も開発者も全力で探し続け、時に失敗し、時に満足いく結果を手にする。
一筋縄ではいかないからこそ、「釣り」は面白いと皆が思うのだろう。
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