今江克隆のルアーニュースクラブR「ホバストの応用テク!サスペンドホバリングとハドルスイマー・エラストマー」の巻 第1019回
「ミドスト」をさらにスローにし、そして…
従来、この時期は「ミドスト」が定番の釣り方になってくるが、近年では「ミドスト」をさらにスローに、バスが浮いて喰いにくるまで、できるだけ移動を抑え、中層で粘って喰わせる「ホバスト」と呼ばれるテクニックが注目されている。
まるで中層でヘリがホバリングしているかのようなイメージから「ホバリングストロール」、略して「ホバスト」と呼ばれているが、JB・TOP50では、既に3年ほど前から注目研究されてきたテクニックである。
「ホバスト」は、今やTOP50で戦うものならばほぼ全員が意識している釣り方だが、自分的には既に4年前の野村ダム戦で「フラッシュニードル」のマイラーを引き抜き、中空にした「浮くフラッシュニードル」での中層一点シェイクからのスイミングサイトをDVD・TOP SECRETの中で試合映像で公開している。
この時は「アベンタ(クローラー)の羽根の動きを中層でできないか?」と言う応用からヒラめいた「フラッシュニードル」の中空仕様だったが、難点はシェイクで上手く中空部に適度な水が中に入ってくれないとサスペンドしないこと、ノーシンカーでないとあっさり沈むことが悩みどころだった。
この頃から「サスペンドさせられるミドスト系ワームができないか?」と言う漠然とした発想はあったが、浮かせることはできても、ジグヘッドの重さをサスペンドさせれるワームなど、ビッグベイトクラスの大きさでないと不可能だった。
夢の「サスペンドワーム」が現実に!
しかし、この2年の急激な素材進化はこの夢のような「サスペンドワーム」を実現させることになる。それが「エラストマー」素材のワーム転用である。
ワーム素材樹脂に比べ、全く違う系統の樹脂である「エラストマー」は、圧倒的な浮力と耐久性を持つ「透明ゴム」のような素材である。
しかし、硬い、複雑な染色、塗装が極めて難しい、癖がつきやすい、価格が高いなど、ワーム素材としては何かと不都合も多い素材である。だが、長期間に亘るその素材研究の結果、そのメリットを最大限活かせば、今までにないワームが誕生する可能性を秘めた素材でもある。
そして、自分がこの「エラストマー」のメリットを最大に活かせると判断したのが、ロングセラーワーム「ハドルスイマー」だった。
その理由は…
- まず大きさの割に質量のある形状から完璧に浮かせられる余裕の浮力を持てること
- 「エラストマー」の強靭な耐久性が最大に活用できる釣り方があること
- そして最後の難関だった「テールにクセが付いても治せる余裕があること」
…だった。
「ハドルスイマー」のエラストマー化自体は正直、簡単だった。
既に今年フィッシングショーでは試作品は完成していたが、試合の隠し球として温存したかったので展示を見送っていた。
その威力は想定通りで、ルアーマガジン4月号七色ダム取材では、あっさりとロクマルを仕留めた。
この時は浮力を最大限活かした水面提灯パワーフィネスでのサイトだったが、枝に軽く引っ掛け、水面に浮かせて放置&ピクピクできる便利さは、まるで「アベンタRSの羽根だけが水面でピクピクもがく様子」そのものだった。
「ハドルスイマー」は、背面、側面共に角ばったフラット面を持つため、クラス最大の容積と、フラットゆえの強い水押しと反射効果は集魚力抜群、さらに最強ハドルテールの波動はロクマルさえも簡単に騙される魔力を持っている。
正直、素材をそのままエラストマー化するだけでもOKレベルの素晴らしいマッチングだった。
しかし、本来の狙いはもう一つあった…。
「ハドルスイマー」エラストマー化の本来の狙いは?