ソルトにバスと、続々とシマノのルアーに施される「狂鱗」ホログラム。
鱗を模した独特なホログラムで、その特長はとにかく「リアル」であること。そして、その実績から間違いなく「ターゲットに効く」ということ。
…「リアル」だから釣れるのか。
もしそうであれば、完全にリアルな魚を模したルアーが究極の釣れるルアーになる。でも現実は異なる。
実際、狂鱗ホログラムは釣れている。でも、そこには何かしら魚に効いている要素があるはず。釣り人なら、その“釣れる理由”を知りたくなるのは当然の流れ。
狂鱗ホログラムが釣れる理由
…というわけで、シマノのご担当者に話を聞いてみることに。
初めから鱗のホログラムを作ろうとして、狂鱗ができた訳ではないそうな。
キッカケとなったのは、2017年の暮れ。シーバスやジギング、ヒラマサキャスティングなどを得意とするシマノソルトインストラクター鈴木 斉 (すずき ひとし)氏の「もっとリアルで、乱反射の大きいカラーが欲しい」という声がそもそもの始まり。
もともと、リアルなカラーが好きでカラーローテーションのベースとなっている氏いわく「実際のベイトは“鱗”をまとっていて、フィッシュイーターに追われ鱗が剥がれたり、剥がれかけたりすると、並びが不規則になり光を乱反射する。これが実際のベイトが見切られない理由。」であるという。
そこで開発チームが着目したのが“鱗”のホログラム。
当時のカラーに施されていたホログラムは、転写箔やレンズ箔など…“規則正しい”ものが多く、光の反射は1方向に。鈴木氏が求めたのは“規則正しくない”「乱反射」で、ここから鱗を模すという発想に行きついたんだそう。
新しい鱗のパターンを作成するにあたり、まずはウロコのリアリズムを追求するために、生きたイワシを獲ってきて、ホンモノのイワシのウロコを採取して拡大しスケッチ。
実寸でアウトライン化し、それをホンモノのウロコが配置されている間隔でランダムに並べ、サンプルを作成。反射に強弱を付けて4パターンのプロトを作成し実釣でテストをすることに。
鱗の配置はホンモノのイワシ同様に、腹側は密に、背中に行くにつれて間隔を空けるというこだわりよう。
青物やシーバスなど実釣テストを繰り返し反応は上々、その中でも開発陣が特に注目したのがヒラスズキの反応。眼球が大きく、視力に優れたヒラスズキが澄んだ潮の条件でも狂鱗を見切らずにバイトするのかという点。テスト結果は、写真撮影を忘れるほどの連続ヒットを記録する日もあるなど、大成功をおさめたという。
4パターンのサンプルのうち反応が良かった下から2番目のパターン「一番反射が弱いモノの次に弱いモノ」を採用し、いよいよ製品化されることに。
テストに参加したインストラクター鈴木氏の「魚が狂ったように喰ってくる」というエピソードから“狂鱗”と名付けられたそうな。