今江克隆のルアーニュースクラブR 第997回「高弾性の対極!曲がるロッドこそ、匠の技術」の巻
「スパイン」の有無による影響は?
ただ最初に言っておきたいことは、「スパイン」があると真っすぐ飛ばない、投げ難いと言う訳でもない。それは道具への慣れや体術で人間が十分にコントロールできる範疇であり、「スパイン」がないロッドを使えば、キャストの下手な人が突然プロ並みになるものでもない。
しかし、1日投げ続ける中で、バスのバイトはいつあるか分からない刹那の出来事であり、キャストもフッキングもここ一番で即座に決めなければならない状況や場面は多々あるものだ。その咄嗟の場面で「スパイン」の「小さな悪戯」が、千載一遇のチャンスを無駄にしてしまうことがあるのもまた事実である。
釣り人が緊張や焦りで落ち着いて対処できない緊急時にこそ、自分の腕、肘、指の延長のごとく素直に追従してくれるロッド、それが「スパインレスロッド」の目指すところである。
「スパインレスロッド」の定義とは?
正直なところ、現在のカーボンシートのマンドレル巻きつけ法を採用する限り、完璧な100%スパインレスロッドの製作は物理的に不可能でもある。その存在を極力感じさせず、キャストやフッキングへの影響がほぼ無い範疇に納めたモノを自分は「スパインレスロッド」と定義している。
また同時にスパインレス化することによって、ロッドの品質持続効果も段違いによくなる。「スパインがほぼ無い」=「素(もと)のブランクスに反りもほぼ無い」と言えるからだ。
ブランクスはほとんどの場合、ガイドのない素の状態では反りが存在する。スパインは元から竿先まで真っすぐ入っているわけではなく、螺旋状に入っていることが多いのだ。その反りをガイドフットで強制的に真っすぐ見えるよう矯正するのが、現実のガイドセッティング法でもある。
ゆえにスパインの影響を少なくするために、ガイドを何処にどう付けるかに関して様々な見解があるが、それ以前に反っているロッドを真っすぐに矯正しないことには売り物にならないと言う現実があるのだ。ゆえに最初から「スパイン」がほぼ無いロッドは反りも少なく、経年耐久力も抜群なのである。
完璧な「スパインレスロッド」への挑戦