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今江克隆のルアーニュースクラブR 第997回「高弾性の対極!曲がるロッドこそ、匠の技術」の巻

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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曲がる竿、しなやかな竿に悪影響を及ぼす要因とは?

その曲がる竿、しなやかな竿ほど悪影響を受ける不可避的問題こそが「スパイン(背骨)」と言われるブランクス内部の偏肉、偏芯であることは既にここでもカタログでも、そしてショーでもタブーを恐れず解説してきたことは周知の事実だ。

ロッドブランクス内部に必ず発生する「スパイン(背骨)」は、言わば体内の「良性腫瘍」のような存在で、絶対に手術で取らなければならない致命的病変ではないが、知ってしまうと気になる存在になってしまうようなものだ。

この「スパイン」がロッドに与える影響は、瞬間的な負荷が掛かった時、急激にブランクスがネジレた時に、「芯が外れて打った打球」のような感覚を覚えることだ。

「スパイン(背骨)」とは、ブランクス内部のシートエッジの重なりでできる偏芯のこと。 この偏芯を無くす技術は、簡単な図解では説明しきれない難易度。 海外量産品ではなかなか実現が難しい、日本のロッド職人ならではの匠の世界だ

野球やゴルフ経験があると分かりやすいと思うが、打撃インパクトの瞬間に芯を喰った気持ちよい感覚がなく、予期せぬ方向に打球が逸れて飛んでいくあの感じだ。特に細くてネジレるゴルフシャフトはバスロッドと極めて似た特性があり、より遠く、スライス、フックを最小限に真っすぐ飛ばすために「スパイン」解消は必須条件になる。

野球で言うなら、木製バット(低弾性)と金属バット(高弾性)の歪まない芯の広さ(ネジレに対する強さ)の違いのようなものである。

バスロッドに置き換えれば、ティップがしなやかなミディアムヘビー以下のロッドで、長ければ長いほどスパインの影響は明確に出てくる。

ミディアムのロッドでワームを瞬間的に「縦にアワセること」が難しいのも、スパインの影響が強く出やすいからである。柔らかいロッドほど、瞬間的な曲がりに耐え切れず、突然ガイドが横に倒れてネジレることで芯を逃がそうとしてしまうためだ。

ゆえに先週解説した高硬度高弾性ロッドの真髄は、スパインが起こり竿先の踊りを「曲がりきる前、ネジレに逃げる前に仕事を瞬時に完了させる弾性力のキレ」でカバーする、言わば、曲がるスパインレスロッドの対極にあるネジレ対策なのである。ちなみにフライロッドが超ローライドガイドで複数ピースの並継ぎになっているも、ループキャストの直進性にモロに悪影響を与えるスパインを消すための工夫でもあるのだ。

次ページで「スパイン」の有無による影響を紹介

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